現在みなべ町は年間約3万3千俵を今もなお平安時代から
ほぼ変わらない製法で作られている。
原木の伐り出しから窯出しまで約10日。
作業は自然との対話ですすめられ、月の満ち欠けや潮の満ち引きと
いった大自然の呼吸にあわせ進められる。
完成した備長炭は安定した火力を長時間持続でき、うちわ一本で火力の調整ができる最高級の白炭ですが、そのほかにもご飯をふっくら炊き上げたり水の浄化や空気の清掃、消臭、さらに癒し効果まで実証されています。
紀州備長炭は職人が直接山へ出向き原木を伐採するところから始まります。険しい山の中で崖地に生えるウバメガシを担ぎ出す事は大変重労働な作業です。
ウバメガシは曲がりくねっているのが特徴の木なので一本一本に手をかけまっすぐに整えます、そうすることで窯の中に隙間なく詰められるようになり高品質な炭ができます。
炭焼き職人は窯を温度計なしに煙の匂いと色で状態を判断し口焚き、点火。炭窯に原木を入れて数日間じっくり蒸し焼きにされます。炭の表面に残っている木の皮も完全に燃焼され硬度が高まった時を見図り外にかき出す。
窯の温度は1000度以上。そばにいるだけでも肌に突き刺す高熱の痛さを感じながら約8〜10時間こうした作業が続けられ、ようやく備長炭が完成する。
備長炭の優れた炭質は製炭技術もさることながら、炭材にウバメガシを使用することで生まれる。きわめて堅い材質の常緑樹で萌芽しやすく主に沿岸のやせ地に生育します。成長が遅く炭材として最高の品質になるまでには20数年かかります。
主に調理用として使われてきた炭ですが、近年、炭の消臭・除湿効果や、電磁波遮断、汚水や空気を浄化する作用を活用した、燃料以外の効能が脚光を浴びています。
なかでも硬くて丈夫な備長炭は、長期間の使用に耐えられることから新分野でも重宝され、脱臭剤、湿気を調整する建築資材、また食品添加物や繊維加工の分野など様々な場面でユニークな製品が開発されています。
長さ12cmサイズの細くてかわいい紀州備長炭を4本組み合わせ、綺麗な音色を奏でる風鈴を作っていただきます。子供から大人まで誰でも簡単に作ることができ、完成した作品は素敵なお土産にもなります。要予約制。
平安朝時代(西暦800年代)より実に1200年もの歴史を有する備長炭。その悠久の歴史・伝統・文化を後世に伝え、村民はもとより広く県内外の人々に普及啓発していく場として「紀州備長炭振興館」が設立されました。ここには、大人からこどもまで訪れる人たちが、備長炭の歴史・文化・製造技術を、知る・観る・触れる様々な工夫が施されています。観光はもちろん、技術研修や小中学校の体験学習など広くご利用いただけます。